電話で、別の店の名前を名乗りそうになる
先日、掛け持ち先のお弁当屋さんで電話を取ったとき、あやうく本業の店名を名乗りそうになりました(笑)。
慌てて飲み込んで、何食わぬ顔でお弁当屋さんの名前を言いましたが、心臓はバクバク。掛け持ちをしている方なら、「あるある!」と思ってもらえるんじゃないでしょうか。
私は50代。20年以上勤めている大手飲食チェーンの仕事に加えて、週2日ほど、知人のお弁当屋さんで働いています。
「50代で掛け持ちなんて、体力的にきつくない?」「お金に困ってるの?」——そう思われるかもしれません。でも私の場合、始めたきっかけはお金じゃなかったんです。
今日はその話と、実際にやってみて感じた本音(いいことも、しんどいことも)を正直に書いてみます。
きっかけは、職場で「同じ悩みを話せる人」がいなくなったこと
長く働いていると、職場の顔ぶれは少しずつ変わっていきます。
私の職場では、同じ主婦で責任ある立場に就いていた仲間が、どんどん辞めていってしまいました。気がつけば、同じ立場の主婦は私を含めて2人だけ。
同じ立場で、同じ悩みを話せる仲間がいない。 これが、想像していた以上にこたえました。
仲のいい主婦仲間は他にもいます。でも、責任ある立場の大変さを知っているから、誰もその役を引き受けようとはしません(賢明だと思います・笑)。
そうなると、どうなるか。フルで週5日・8時間入っている私に、仕事がぜんぶ回ってくるんです。長くいて何でも知っているから、何かあれば「あの人に聞けば分かる」。ありがたい信頼ではあるけれど、責任もぜんぶ自分に向かってくるような息苦しさを感じて、悩んでいました。
「私も雇ってくれない?」——冗談から始まった掛け持ち
そんな頃、職場で私がいちばん尊敬して、頼りにしていた人が、別の仕事をすることになりました。身内の方が立ち上げた、お弁当の配達のお店を手伝うことになったのです。
その人がうちの職場に入るのは月に2〜3日だけに。寂しくなって、LINEで「次はいつ入るの?」なんてやりとりをしていたとき、冗談混じりにこう送りました。
「私のことも雇ってくれない?」
——それが、本当になりました(笑)。
求人サイトで探したわけでも、履歴書を書いたわけでもありません。一度会ってお話はしましたが、面接というより「こんな感じの仕事だけど、いいですか?」という説明会のようなもの。あとから知ったのですが、その人が「あの人は仕事ができるから」と先に伝えてくれていたそうです。
20年以上の仕事ぶりが、思いがけないところで紹介状になってくれたんだなと思います。
実はもうひとつ、本音の理由がありました
尊敬する人と一緒に働きたい。それも本心です。でももうひとつ、誰にも言っていなかった理由があります。
私の身近な親族に、身内の会社で働いてうまくいかず、数年で辞めた人がいました。その話が印象に残っていたので、「身内の会社って、いい部分もあるけど、やりづらいこともあるだろうな」と思っていたんです。
だからもし、その人が新しい職場でうまくいかなかったとき——また元の職場に戻ってきやすいように、私が橋渡し役として繋がっていたかった。
掛け持ちのきっかけが「誰かの帰り道を残しておくため」って、我ながら変わってますよね。でも、これが偽らざる本音でした。
よかったこと①「こっちがダメでもあっちがある」と思えるようになった
実際に掛け持ちを始めて、いちばん大きかったのはこれです。
私は意外とのめり込みやすい性格で、ひとつの職場にいると、そのことばかり考えてしまいます。すると、ほどよい距離感で働いている周りの人と温度差が生まれたり、うまくいかないことがあると必要以上に落ち込んだり。
それが、職場がふたつになってからは——
「こっちがダメでも、あっちがある」
そう思えるようになったんです。嫌なことがあっても、明日は別の場所で別の仕事。この感覚のおかげで、いい意味で力を抜けるようになりました。
よかったこと②居場所がふたつに増える
掛け持ちは、収入源がふたつになる働き方だとよく言われます。でも私の実感では、居場所がふたつになる働き方です。
人との出会いも増えるし、知らなかった世界を経験できる。本業で20年以上かけて身につけた知識や経験が、思わぬところでお弁当屋さんの仕事に生きることもあって、それも嬉しい発見でした。
大変なこと。覚えることは増えるし、頭の切り替えも必要
もちろん、いいことばかりではありません。
職場がふたつあれば、覚えることは単純に増えます。仕事のやり方も、人の名前も、電話の名乗り方も(笑)。頭の切り替えがうまくいかない日もあります。
それから、「どちらも中途半端」に感じてしまう瞬間もあります。どっぷりひとつの職場に浸かっていた頃と比べると、どちらに対しても深く関われていないような、宙ぶらりんな感覚。
ただ、面白いことに、これは裏返すと長所でもあるんです。どちらも「軽く」いられる。のめり込みすぎなくていい。中途半端さと身軽さは、同じものの裏表なんだと、やってみて初めて分かりました。
いちばんの落とし穴は、スケジュール管理でした
体力よりも何よりも、掛け持ちでいちばん大変なのはスケジュール管理だと思います。
理想を言えば、「月曜と木曜は弁当屋さん」のように曜日で固定するのがいちばんいい。でも私の場合、本業がシフト制だったこともあって、掛け持ち先の都合に合わせる形にしてしまいました。そこに自分の習い事の予定も重なって、管理はけっこう複雑に。
その結果、何が起きたか。
スケジュール管理をミスったり、「人が足りないみたいだし、大丈夫かな」と思って空いたところに入ったりしているうちに——気づいたら10連勤になっていたことがあります。
始めたばかりの頃は「役に立ちたい」という気持ちが強くて、自分の都合を後回しにしてしまうんですよね。それで後から苦しくなる。50代、無理は確実に翌日に響きます(笑)。
ある程度慣れてからは、自分の予定を優先して、お断りすることもできるようになりました。これから掛け持ちを考えている方には、この3つをお伝えしたいです。
- できれば曜日固定で(シフト制×シフト制は管理が大変)
- 手帳でもアプリでもいいので、予定は一元管理(職場ごとに分けると事故ります)
- 「断る練習」は最初からしておく(役に立ちたい気持ちは、長く続けることで返せばいい)
正直な本音。2倍落ち込む日も、2倍充実する日もある
最後に、いちばん正直な話をします。
職場がふたつあるということは、両方ともうまくいかない時期もあるということです。そういう時は、ダブルできついです。「私は何をやってもダメなんじゃないか」って、2倍落ち込みます。
でも、両方うまくいっている時は——めちゃくちゃ充実します。
ふたつの居場所で、それぞれ「ありがとう」と言われる。50代でこんな働き方ができるとは、数年前の私は想像もしていませんでした。
私のような「縁」がなくても、小さく始められます
私の場合は、たまたまご縁があって始められました。でも振り返ってみると、その縁を運んでくれたのは「日頃の仕事ぶりを見てくれていた人」でした。今の職場でコツコツ働くことが、次の仕事への一番の近道になることもあるんだと実感しています。
とはいえ、そういう縁がすぐ身近にあるとは限りませんよね。
今は主婦向けの求人サイトや、1日単位で働けるスキマバイトのアプリもあります。私のように週2日からでも、まずは単発で1日だけでも、「居場所をもうひとつ持ってみる」ことは、思っているよりハードルが低くなっています。
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いきなり大きく始める必要はありません。私も週2日です。「こっちがダメでもあっちがある」は、小さな一歩からでも手に入ります。
まとめ:居場所は、ひとつじゃなくていい
50代の掛け持ちは、たしかに覚えることも増えるし、スケジュール管理は大変だし、両方こじれたら2倍落ち込みます。
それでも私は、始めてよかったと思っています。
お金のためだけじゃない。「こっちがダメでもあっちがある」と思える心の余裕は、長く働き続けたい私にとって、何よりの支えになっているからです。
もし今の職場以外のところで新しい居場所を探したいなら、求人サイトを使ってみるのもひとつの方法です。パート・アルバイトから探せるので、まず「週2日だけ試してみる」という小さな一歩を踏み出しやすいと思います。
ひとつの職場で煮詰まっているあなたへ。居場所は、ひとつじゃなくていいんですよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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