家計簿が続きません、という話をします。
正確に言うと、続きませんでした、です。市販の家計簿を何種類も買って、自分でノートに手作りまでして、全部やめています。
先に結論を書きますね。私が家計簿を続けられなかった原因は、意志の弱さではなく「手で書こうとしていたこと」でした。 書くのをやめて、記録が自動で残る形にしたら、あっさり続きました。今も続いています。
そして、続いた結果どうなったかも先に書いておきます。無駄は、減りました。 ただしこれは、私が節約を頑張ったからではありません。見えたから、やめられたという順番です。何に使っているか分からないうちは、削りようがなかったんです。
この記事では、その話をする前に、私がどんなふうに家計簿に挫折していたかを書きます。続けるコツは、たぶん他の方がたくさん書いています。私が持っているのは、できなかった側の具体的な中身の方なので。
レシート入れを作って、溜め込んでいました
まず、当時の私が何をやっていたかというと、これです。
レシートを溜め込む。
しかも私は、財布に突っ込んでいたわけではありません。わざわざレシート入れを作って、そこにまとめていました。財布に入れたままだとぐちゃぐちゃになるし、なくしてしまうからです。
つまり、ずぼらだったわけではないんです。 ちゃんとやるつもりでいたから、専用の置き場所まで用意していた。
書くタイミングは決めていませんでした。家事の合間か、仕事が休みの日。 まとまった時間ができたときにやろう、と思っていたわけです。
ところが、その「まとまった時間」が来たときには、レシート入れはもう膨らんでいます。家族が使った分も入ってきますから、自分ひとりの買い物の話ではありません。
そして、記入が1日がかりになります。
レシートを日付順に並べるところから始まって、費目に分けて、書き写して、電卓を叩いて。気がつくと夕方です。貴重な休みが1日、それだけで終わっている。
正直に言うと、そこで思ったんです。
「私は何のためにこれをやっているんだろう。」
節約したくて始めたはずなのに、休日という一番貴重なものを差し出している。しかも書き終わったところで、待っているのは「使いすぎだ」という事実の確認だけです。楽しくもなければ、報われもしない。
こうなると、次に時間ができたとき、当然また後回しにします。後回しにすると、レシート入れはもっと膨らみます。そして膨らむほど、蓋を開けるのが億劫になる。
やめるときは、決意してやめるわけではありません。 ただ、書かない日が続いて、そのまま戻らなくなるだけです。
家計簿を何冊も買いました。ノートに自作もしました
それでも「家計簿はつけるべきもの」だと思っていたので、私は何度もやり直しています。
そのたびに、新しい家計簿を買いました。
費目が最初から印刷されているもの。1日1行のシンプルなもの。袋分け用のポケットが付いているもの。書店で家計簿コーナーの前に立って、「これなら続きそう」と思えるものを毎回選んでいました。
最後には、自分でノートに手作りもしています。市販のものが合わないなら、自分の生活に合わせて作ればいいと思ったからです。
でも、どれも続きませんでした。
そのころの私の解釈はこうです。「自分に合う家計簿にまだ出会えていないだけ」。
——今から振り返ると、これが間違いでした。家計簿の種類の問題ではなかったからです。
続かなかった本当の理由は、「量」でした
続かなかった理由は、私の性格でも、選んだ家計簿でもありませんでした。
単純に、手で書ける量を超えていたんです。
当時の我が家の状況を並べてみます。
- 家族が使ったレシートが毎日入ってくる(自分の分だけではない)
- レシートが出ない支出がある——引き落とし、口座振替、年払いのもの。これは記録しようがない
- クレジットカードが、家族カードを含めて複数枚あった。どのカードがどの口座から引き落とされるのかを、いちいち思い出さないと書けない
- 引き落とし用の銀行と、給与振込の銀行が別々にあった。しかも1つではない
これを全部、1冊のノートに手で集約しようとしていたわけです。
いま文字にすると当たり前の話なんですが、当時の私は「集約できないのは自分がだらしないからだ」と思っていました。
そして極めつけがこれです。
給料日のあとは、「銀行巡り」に追われていました
引き落とし口座と給与振込口座が違うので、給料日を過ぎたら、お金を移動させなければ引き落としに間に合いません。
だから給料日のあとは、銀行を回ります。ここから下ろして、あちらに入れる。1か所では終わりません。
私は仕事帰りに回っていたので、時間そのものは半日もかかっていません。 それでも当時の感覚は、半日つぶれているのと変わりませんでした。
理由は、かかる時間より、頭の中を占領する時間の方が長かったからです。
- いつまでに行かないと引き落としに間に合わないかを、常に頭の片隅に置いている
- 銀行に行ける日はいつかを、シフトと突き合わせて考える
- 給料日のあとは混んでいて、並ぶ。仕事帰りの体で、列に並ぶ
- そして——下ろした現金を持ち歩くのが、こわい。 一時的とはいえ、なくさないか、取られないか。バッグの中がずっと気になっている
お金が増えるわけでも、減るわけでもありません。ただ移動させているだけです。それなのに、毎月これだけのことを考えて、気を張っていました。
本当に、大変でした。
家計簿が続かない、という悩みの下には、実はこういう「余計なことに気も時間も取られている状態」が丸ごと隠れていたんだと思います。書く時間がなかったのではなく、書く前の段階が散らかりすぎていたんです。
私が本当に欲しかったのは、きれいなノートではありませんでした
ここが、いちばん書いておきたいところです。
何年も家計簿に失敗して、ようやく気づいたことがあります。
私が欲しかったのは、記入された家計簿ではなく、「今いくら使っているか分かっている状態」でした。
つまり欲しかったのは把握であって、記録そのものではなかった。
なのに私は、記録することを目的にしていました。ノートを埋めることが家計簿だと思っていたので、埋められない=失敗になってしまう。実際には、埋まっていなくても把握さえできていればよかったのに、です。
そう考えると、話は逆になります。
手で書くことをやめれば、続くのではないか。
書くのをやめました——家計簿アプリに切り替えた話
それで私は、マネーフォワードMEという家計簿アプリを使い始めました。
きっかけは、お金の勉強を一からやり直そうと思って調べていたことです。いろいろ見ていく中で、投資の話より先に「まず家計を把握する」という話に何度もぶつかって、じゃあそこからだ、と。
やったことは単純で、クレジットカードと銀行口座を連携させただけです。
そうすると、使った分が勝手に記録されます。引き落としも、レシートの出ない支払いも、口座の側から入ってくる。私がレシートを溜める理由が、なくなりました。
続いた理由は、根性が出たからではありません。書く作業そのものを手放したからです。
ここでは使い方の説明はしません。私は専門家ではありませんし、アプリの機能は変わっていくものなので、「私はこうした」以上のことは書かないでおきます。(実際にどう設定して、どこでつまずいたかは、別の記事に分けて書くつもりです。)
ひとつだけ正直に言っておくと、連携させた直後は、けっこう落ち込みます。 それまで見ないようにしていた支出が、一画面に全部並ぶからです。
でも、その落ち込みが出発点でした。 そして私の場合、そこで想像もしていなかったものを突きつけられます。
見える化して、いちばん驚いたのは自動販売機でした
連携が終わって明細を眺めていたとき、同じ項目が、ずっと縦に続いているのが目に入りました。
ペットボトルです。
当時の私は、Coke ON(コークオン)のアプリを入れていました。買った本数がスタンプになって、貯まると1本無料になる、あの仕組みです。
そして私は、それに惑わされていました。わざわざコークオンの自動販売機を探して買っていたんです。近くの自販機ではなく、スタンプが貯まる方へ。
その項目が明細にずらっと並んでいるのを見たときのことは、今でも忘れられません。
なんて無駄なんだ、と思いました。
冷静に考えれば当たり前の話なんです。
- 1本無料になったとしても、水筒を持っていく方がずっと安い
- スーパーで割引になっているものをまとめて買う方が、無料の1本をもらうより安い
その当たり前に、私は気づいていませんでした。というより——まんまと乗せられていた、という方が正しいと思います。無料の1本が嬉しくて、その裏で何本ぶん払っているかを、一度も数えていなかったんです。
1回いくら、の買い物は、記憶に残りません。 財布から小銭が出ていくだけで、レシートも取っておきません。だから家計簿に手で書いていた頃は、この支出は一度も記録されたことがなかったわけです。存在ごと見えていなかった。
このとき私は、「見える化」という言葉の意味がやっと分かりました。見えるようになると、我慢しなくても、やめられます。
節約しようと思ってやめたのではありません。並んでいる項目を見たら、続ける気がなくなっただけです。
自分が何にいくら使っているかを見えるようにする。大事なのはこれだと思ったのは、この出来事がきっかけでした。
把握できて、はじめて次に進めました
コークオンの件でもう一つ分かったのは、見えると、勝手に減るということでした。頑張って我慢する必要がなかったんです。
そして、把握できるようになって、やっと次の作業にも手がつきました。
- 余計なクレジットカードを解約した(連携して初めて「これ、もう使っていない」が見えた)
- 銀行をネット銀行に変えた
- 給与振込先の自動入金の仕組みを使って、銀行巡りをやめた
- 保険を見直した——子どもが大きくなって必要がなくなったものを解約し、貯金で備える形にした
- 浮いた分を、積立に回した
順番が大事だと思っています。把握 → 整理 → 削減 → 回す。
世の中の情報は、たいてい「4」や「5」から始まります。何に投資するか、どこを節約するか。でも、1をやらずに4に行っても、何を削っていいのか分からないんです。私は分かりませんでした。
だから、家計簿が続かないことは、入口でつまずいているということでもあります。逆に言えば、ここさえ越えれば先に進めます。私がそうでした。
(この2〜5の話は、それぞれ長くなるので、1つずつ別の記事に書いていきます。)
手で書くのが合う人もいると思います
念のため書いておきます。
手書きの家計簿が合う人は、確実にいます。 書くことで支出を意識できる、という効果は私も否定しません。実際、私の周りにも何年も手書きで続けている人がいます。
私はそうではなかった、というだけの話です。
そして、合わない方法を続けられなかったことは、失敗ではありませんでした。 何冊も買って、何度もやめて、ようやく「私は書く人ではない」と分かった。回り道でしたが、そこが分かったから今の形に辿り着いています。
もし今、膨らんだレシートの束を前にして手が止まっている方がいたら、責めるべきは自分ではなくて、方法の方かもしれません。
まとめ:続かなかったのは、意志ではなく方法でした
長くなったので、まとめます。
- 私はレシートを溜め込み、記入に休日が1日潰れて、そのたびに家計簿をやめていました
- 市販の家計簿を何種類も買い、ノートに自作もしましたが、どれも続きませんでした
- 原因は意志ではなく、手で書ける量を超えていたこと。家族の分のレシート、レシートの出ない引き落とし、複数のカード、複数の銀行
- 給料日のあとの銀行巡りは、かかる時間より頭を占領される時間の方が長かった(期日・並ぶ・現金を持ち歩く不安)
- 気づいたのは、私が欲しかったのは記録ではなく把握だったということ
- 書くのをやめて、自動で記録される形にしたら続きました
- 見える化して一番驚いたのは、自動販売機で買っていたペットボトル。無料の1本に釣られて、わざわざ探して買っていました。見えた瞬間にやめられました
- そして、把握できてはじめて、カードを減らす・銀行を変える・保険を見直すという次の作業に進めました
最後にひとつだけ。
私がここまでやったのは、節約が趣味だからではありません。お金の不安を抱えたままだと、働き方を選べないからです。不安があると、「この職場を続けるかどうか」を、条件だけで決めることになってしまう。
家計を把握することは、私にとっては働き続けるための準備でした。
私が「どう働きたいか」を1つ決めるまでの話は、こちらに書いています。
働き方の選択肢を増やすために掛け持ちを始めた話はこちらです。
※この記事は、私自身が実際にやってきたことの記録です。家計の状況は人それぞれ違いますし、私は専門家ではありません。保険や資産運用については、ご自身の状況に合わせて判断してください。


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